ブルーベリーの実がつかない・落ちる原因と対策

ブルーベリー栽培において、せっかく育てても実がつかない、あるいは実がついても途中で落ちてしまうというトラブルは珍しくありません。この記事では、そのような問題の原因を詳しく解説し、具体的な対策方法をご紹介します。

受粉不良による結実不良

ブルーベリーの結実不良の最も一般的な原因の一つが、受粉の問題です。

他家受粉が必要な品種を単独栽培している

ブルーベリーには自家受粉性の高い品種と、他家受粉を必要とする品種があります。特にラビットアイ系品種は他家受粉が必要なケースが多く、単独で栽培すると結実率が著しく低下します。

対策

  • 同じタイプの品種を2〜3種類、開花期が重なるように混植する
  • 特にラビットアイ系を栽培する場合は、必ず2品種以上を植える
  • 既に単独栽培している場合は、近くに別品種を追加植栽する

開花期の天候不良

開花期に雨や低温が続くと、花粉が湿気で固まったり、ミツバチなどの訪花昆虫の活動が低下したりして受粉率が下がります。

対策

  • 鉢植えの場合は、開花期に雨よけをする
  • 寒冷期の開花時には不織布などで保温する
  • 小規模栽培では、筆などを使って人工受粉を行う

土壌環境の問題

ブルーベリーは土壌環境に非常に敏感な植物です。適切でない土壌条件は結実不良の大きな原因となります。

土壌pHが適正でない

ブルーベリーは強い酸性土壌(pH4.0〜5.5)を好みます。土壌pHが高すぎると、鉄などの微量要素が吸収できなくなり、樹勢が衰えて結実不良につながります。

対策

  • 定期的に土壌pHを測定する(年1〜2回)
  • pHが高い場合は、硫黄粉や酸性肥料を施す
  • 灌水に酢を少量加えるなど、一時的な対応も効果的
  • 鉢植えの場合は、植え替え時に酸性培養土を使用する

排水不良による根の障害

ブルーベリーは湿潤な環境を好みますが、水はけが悪く根が常に水に浸かっている状態では、根腐れを起こして樹勢が衰え、結実不良の原因となります。

対策

  • 地植えの場合は、高畝にするなど排水対策を行う
  • 鉢植えでは、鉢底の排水穴を確保し、鉢底石を入れる
  • 水はけの悪い土壌には、パーライトやバーミキュライトを混ぜる

栄養バランスの問題

適切な栄養バランスは、花芽形成から結実までの全過程で重要です。

窒素過多

窒素肥料を与えすぎると、枝葉の生育は良くなりますが、花芽形成が抑制され、結実率が低下します。

対策

  • 開花前の窒素肥料の施用を控える
  • リン酸やカリウムを含む肥料を適切に与える
  • 有機質肥料を中心に、緩効性の肥料を使用する

微量要素の欠乏

特に鉄欠乏は、ブルーベリーでよく見られる問題です。葉が黄化し、光合成能力が低下することで結実不良につながります。

対策

  • キレート鉄剤を葉面散布または土壌施用する
  • 酸性土壌を維持して微量要素の吸収を促進する
  • 鉄分を含む有機質肥料(油かすなど)を適量施用する

樹勢と剪定の問題

樹の状態や剪定方法も、結実に大きく影響します。

樹勢が弱すぎる、または強すぎる

樹勢が弱すぎると十分な栄養が実に回らず、強すぎると栄養が枝葉の成長に使われて実の生育が犠牲になります。

対策

  • 弱い樹は、剪定で樹形をコンパクトにし、適切な施肥を行う
  • 強すぎる樹は、窒素肥料を控え、結果枝を適切に残す剪定を行う
  • 樹齢に応じた適切な剪定を行い、バランスの良い樹形を維持する

剪定不足または過剰剪定

剪定が不足すると枝が混み合い、日当たりや風通しが悪くなります。逆に剪定しすぎると結果枝が不足します。

対策

  • 冬季剪定で古い枝や弱い枝を適度に間引く
  • 結果枝(2〜3年生の枝)を適量残す
  • 品種特性に合わせた剪定方法を選択する

気象条件の影響

ブルーベリーは気象条件にも敏感に反応します。

開花期の低温

開花期に霜が降りたり、気温が低すぎると、花が傷んで受粉できなくなります。

対策

  • 霜の危険がある時期は不織布などで覆う
  • 鉢植えの場合は、夜間に室内や軒下に移動させる
  • 防霜ファンの設置(大規模栽培の場合)

夏季の高温・乾燥

果実肥大期の高温や乾燥は、果実の発育不良や落果の原因となります。

対策

  • マルチングを施して地温上昇と乾燥を防ぐ
  • 朝夕の涼しい時間帯に十分な水やりを行う
  • 必要に応じて遮光ネットを設置する

病害虫による被害

病害虫の発生も結実不良や落果の原因となります。

花や果実を直接攻撃する害虫

アブラムシやハダニなどの害虫は、花や若い果実を直接加害します。

対策

  • 定期的な観察で早期発見に努める
  • 発生初期に適切な防除を行う
  • 天敵(テントウムシなど)を活用した生物的防除も検討

果実を腐らせる病気

灰色かび病や炭疽病などは、花や果実を腐らせて落果させます。

対策

  • 風通しを良くして湿度を下げる
  • 雨よけ栽培を検討する
  • 病気の発生前から予防的な対策を行う

植え付け後の年数と管理

ブルーベリーは植え付け後の年数によっても結実状況が変わります。

植え付け後間もない若木

植え付けから1〜2年の若木では、樹の成長を優先するため、花芽を摘み取って結実させないことが推奨されます。

対策

  • 植え付け後1〜2年は花芽を摘み取り、樹の成長を促す
  • 3年目からは徐々に結実させ、樹の負担を見ながら調整する
  • 若木期は特に適切な水やりと施肥を心がける

老木化による結実不良

10年以上経過した古い株では、樹勢が衰え、結実不良が起こることがあります。

対策

  • 若返り剪定を行い、新しい枝の発生を促す
  • 根域の拡大(鉢植えの場合は植え替え)を行う
  • 適切な肥培管理で樹勢回復を図る

まとめ

ブルーベリーの結実不良や落果の原因は多岐にわたります。品種特性や栽培環境、管理方法など、様々な要因が複合的に影響していることが多いため、一つずつ確認しながら対策を講じることが大切です。

特に重要なのは、①適切な品種の選択と混植、②酸性土壌の維持、③適切な剪定と肥培管理、④病害虫の予防と早期対策の4点です。これらの基本をしっかり押さえることで、多くの結実トラブルを防ぐことができます。

ブルーベリー栽培は少し手間がかかりますが、その分だけ収穫の喜びも大きいものです。トラブルが起きても焦らず、原因を冷静に分析して適切な対策を講じれば、豊かな実りを得ることができるでしょう。

次回は「葉の異常と対処法」について詳しく解説します。ブルーベリーの葉の状態は樹全体の健康状態を反映する重要なサインです。黄化や斑点など、様々な葉の異常から樹の状態を読み取り、適切に対処する方法をお伝えしていきます。

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