![桃の花と実のイメージ]
こんにちは、ガーデニング愛好家の皆さん!これから桃の栽培を始めようと考えている方や、すでに栽培を楽しんでいる方にとって、専門用語の理解は非常に重要です。本記事では、桃栽培に関する主要な専門用語を分かりやすく解説します。これから連載する「桃の育て方」シリーズを読み進める前に、ぜひこの用語集に目を通して、基本的な知識を身につけておきましょう。
🍑 栽培の基本用語
核果(かくか)
桃、梅、すもも、アンズなど、中心に硬い種子(核)を持つ果実の総称。桃は代表的な核果類です。
自家結実性(じかけつじつせい)
1本だけでも受粉して実をつける性質。桃は基本的に自家結実性が高く、1本植えでも実がなります。
花芽(はなめ)
花を咲かせるための芽。桃では前年の夏から秋にかけて形成され、翌春に開花します。丸みを帯びた形状が特徴です。
葉芽(はめ)
葉だけを出す芽。花芽より尖った形状をしています。
頂芽(ちょうが)
枝の先端にある芽。強い優性を持ち、側芽の成長を抑制する性質があります。
側芽(そくが)
枝の側面についている芽。頂芽優勢の影響を受けます。
休眠(きゅうみん)
冬季に成長を一時停止する生理現象。桃は一定期間の低温(休眠打破)が必要です。
低温要求量(ていおんようきゅうりょう)
休眠打破に必要な低温の積算時間。品種によって異なります。
発芽(はつが)
休眠から覚めて芽が動き出すこと。
開花(かいか)
花が咲くこと。桃は葉が出る前に花が咲く「先花後葉」の特性があります。
結実(けつじつ)
花が受粉して実になること。
🍑 樹の部位と成長に関する用語
新梢(しんしょう)
その年に伸びた若い枝。翌年の結実の基礎となります。
徒長枝(とちょうし)
極端に長く伸びる枝。栄養成長が過剰で、実がつきにくい特性があります。
結果枝(けっかし)
花芽が多くつき、果実を実らせる枝。長さは20〜40cm程度が理想的です。
予備枝(よびし)
翌年の結果枝候補として残しておく枝。
短果枝(たんかし)
長さが数cm程度の短い枝で、花芽がよくつきます。
側枝(そくし)
主枝や亜主枝から分かれた枝。
主枝(しゅし)
幹から直接分かれた太い枝。樹形の骨格を形成します。
亜主枝(あしゅし)
主枝から分かれた比較的太い枝。
樹冠(じゅかん)
樹の枝葉が広がっている部分全体。
樹高(じゅこう)
木の高さ。管理のしやすさを考慮すると、桃は3m前後に抑えるのが一般的です。
台木(だいき)
接ぎ木の土台となる根の部分。桃では主にモモ台やスモモ台が使われます。
穂木(ほぎ)
接ぎ木で上部につける品種の部分。
🍑 栽培管理に関する用語
整枝(せいし)
樹の骨格を作るための枝の配置や誘引を行うこと。
剪定(せんてい)
樹の成長や結実を調整するために枝を切ること。
冬季剪定(とうきせんてい)
休眠期(落葉後〜発芽前)に行う主要な剪定。骨格づくりや翌年の結実の準備を目的とします。
夏季剪定(かきせんてい)
生育期間中に行う剪定。主に徒長枝の抑制や日当たり改善が目的です。
誘引(ゆういん)
枝を紐などで引っ張り、理想的な方向や角度に導くこと。
摘蕾(てきらい)
花の蕾の段階で間引くこと。
摘花(てきか)
開花した花を間引くこと。
摘果(てきか)
実を間引いて、残った果実の品質を高めること。
予備摘果(よびてきか)
開花後2〜3週間頃に行う最初の摘果。
本摘果(ほんてきか)
硬核期終了後に行う最終的な摘果。
玉直し(たまなおし)
果実の向きを調整して、日当たりや色づきを均一にすること。
袋かけ(ふくろかけ)
果実に紙袋などをかけて、害虫や病気、日焼けから保護すること。
環状剥皮(かんじょうはくひ)
幹や枝の樹皮を環状に剥ぎ、養分の移動を一時的に阻害することで結実や糖度を高める技術。
マルチング
地面に敷物をして、雑草抑制や土壌環境の改善を図ること。
追肥(ついひ)
生育期間中に追加で与える肥料。
元肥(もとごえ)
植え付け時や休眠期に与える基本的な肥料。
葉面散布(ようめんさんぷ)
葉から栄養を吸収させるために液体肥料を散布すること。
🍑 果実の生育段階と特性に関する用語
硬核期(こうかくき)
果実の種子(核)が硬くなる時期。この時期は果実の肥大が一時的に停滞します。
核割れ(かくわれ)
種子が成長過程で割れる現象。品質には影響しないが、加工用には不向き。
生理落果(せいりらっか)
生理的な原因で果実が自然に落ちること。
早生種(わせしゅ)
早く収穫できる品種。一般的に6月下旬〜7月中旬に収穫。
中生種(なかてしゅ)
中間の時期に収穫できる品種。一般的に7月中旬〜8月上旬に収穫。
晩生種(おくてしゅ)
遅く収穫できる品種。一般的に8月中旬以降に収穫。
白肉種(はくにくしゅ)
果肉が白い品種。日本では主流。
黄肉種(おうにくしゅ)
果肉が黄色い品種。缶詰などの加工用に多い。
溶質(ようしつ)
熟すと果肉が溶けるように柔らかくなるタイプ。生食用に適しています。
不溶質(ふようしつ)
熟しても果肉が比較的硬いタイプ。加工用に適しています。
糖度(とうど)
果実の甘さを示す指標。Brix(ブリックス)度で表されます。
酸度(さんど)
果実の酸味を示す指標。
🍑 病害虫と対策に関する用語
せん孔細菌病(せんこうさいきんびょう)
葉や果実に穴があくように病斑が生じる細菌性の病気。
灰星病(かいせいびょう)
花や果実に灰色のカビが生じる病気。
縮葉病(しゅくようびょう)
葉が縮れて変形する病気。
胴枯病(どうがれびょう)
枝や幹が枯れる病気。
モモハモグリガ
葉に潜って食害する害虫。
カイガラムシ
枝に付着して樹液を吸う害虫。
アブラムシ
新芽や若葉に集まって汁を吸う害虫。
シンクイムシ
果実に食入する害虫。
総合防除(そうごうぼうじょ)
化学農薬だけでなく、耕種的・物理的・生物的防除法を組み合わせた害虫管理。
耕種的防除(こうしゅてきぼうじょ)
剪定や整枝など栽培管理によって病害虫を抑制する方法。
🍑 栽培方法と技術に関する用語
開心自然形(かいしんしぜんけい)
中心を空けた樹形で、日本の桃栽培で最も一般的。
エスパリエ仕立て
壁面や棚に沿って平面的に仕立てる方法。
根域制限栽培(こんいきせいげんさいばい)
根の広がりを制限して樹の生育をコントロールする栽培法。
早期成園化(そうきせいえんか)
早く収穫できる園地にするための技術や方法。
ファミリーツリー
1本の木に複数の品種を接ぎ木する方法。
盆栽仕立て(ぼんさいじたて)
小型の鉢で矮性に仕立てる方法。
受粉樹(じゅふんじゅ)
受粉を助けるために植える別品種の樹。桃では基本的に不要。
自家受粉(じかじゅふん)
同じ花または同じ品種の花粉で受粉すること。
他家受粉(たかじゅふん)
異なる品種の花粉で受粉すること。
🍑 収穫と利用に関する用語
適期収穫(てききしゅうかく)
最適な熟度で収穫すること。
追熟(ついじゅく)
収穫後に熟成させること。桃は収穫後も熟度が進む特性があります。
完熟(かんじゅく)
十分に熟した状態。香りが強く、食味が最高になります。
半硬(はんこう)
まだ少し硬さが残る状態。輸送や保存に適しています。
ドライフルーツ
乾燥させた果実。桃も美味しいドライフルーツになります。
コンポート
砂糖シロップで煮た果物の保存食。
🍑 まとめ
以上が桃栽培における主要な専門用語です。これらの用語を理解することで、栽培の手順や技術をより深く理解できるようになります。この用語集は、これから連載する「桃の育て方」シリーズを読み進める際の参考資料としてご活用ください。
次回は「桃の歴史と原産地」について詳しく解説します。桃がどのように日本に伝わり、現在の品種がどのように発展してきたのかを学びましょう。
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次回予告:「桃の歴史と原産地 〜古代中国から日本の果樹園まで〜」
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