![みかん収穫のイメージ]
こんにちは、みかん栽培愛好家の皆さん!前回の記事「収穫の適期と見分け方」では、みかんの収穫タイミングについて詳しく解説しました。今回は、その続編として「収穫のコツと注意点」について掘り下げていきます。
せっかく時間をかけて育てたみかんですから、収穫の段階で失敗したくありませんよね。適切な収穫方法を知ることで、みかんの美味しさを最大限に引き出し、長期保存にも耐えられる高品質な果実を手に入れることができます。家庭菜園レベルから本格的な栽培まで、役立つ情報をお届けします。
目次
収穫前の準備
収穫作業を効率的に行うためには、事前準備が大切です。収穫日の数日前から以下の準備を整えておきましょう。
必要な道具の確認
- 収穫ばさみ:専用のヘタ切りばさみがベスト(一般的な剪定ばさみでも代用可)
- 収穫かご:通気性の良いプラスチック製または竹製のかご
- 脚立:高い位置のみかんを安全に収穫するため
- 軍手:手を保護し、みかんに傷をつけにくくするため
- 収穫エプロン:両手を空けて作業できる収穫用エプロンがあると便利
天候の確認
- 晴れた日を選ぶ(雨の日や露が残っている早朝は避ける)
- 朝露が乾いた10時以降、午後2時頃までが理想的
- 雨上がりの翌日は、果実が水分を多く含んでいるため、可能であれば1〜2日空けてから収穫する
収穫のベストタイミング
前回の記事でも触れましたが、おさらいとして収穫の適期について簡単に確認しておきましょう。
品種ごとの収穫時期の目安
- 極早生温州:9月下旬〜10月中旬
- 早生温州:10月下旬〜11月中旬
- 中生温州:11月中旬〜12月中旬
- 晩生温州:12月〜1月
- ポンカン:12月下旬〜2月
- 伊予柑:2月〜3月
収穫適期の見分け方
- 果皮の色:品種特有の色に完全に変化している
- 果実の手触り:適度な弾力があり、押すとわずかに凹む
- ヘタの色と状態:緑色から茶色がかり、少し乾いた感じになる
- 果実の重量感:手に持った時に適度な重みがある
- 試し採り:数個収穫して味を確認する(糖度計があれば測定するのも良い)
正しい収穫道具の選び方
みかんの収穫には適切な道具を使用することで、果実を傷つけず、作業効率も上がります。
ヘタ切りばさみ
おすすめポイント:
- 先端が丸くなっている専用のヘタ切りばさみを選ぶ
- 刃が鋭く、軽く握るだけで切れるもの
- 手のサイズに合ったもの(長時間使用しても疲れにくい)
- ステンレス製で錆びにくいもの
家庭菜園向け代替品:
- 小型の剪定ばさみ
- 先の細い料理用はさみ(先端を丸く加工すると良い)
収穫かご
選び方のポイント:
- 通気性が良いもの
- 果実同士が擦れ合わないよう、あまり深すぎないもの
- 持ち運びやすい大きさと重さ
- 肩掛けタイプや腰掛けタイプは両手が空くので便利
ヘタ切りの正しい方法
みかんの収穫で最も重要なのが「ヘタ切り」の技術です。正しい方法でヘタを切ることで、果実の鮮度を保ち、腐敗を防ぐことができます。
基本的なヘタ切りの手順
- 果実を確認する:完熟しているか、病害虫の被害がないかチェック
- 果実を軽く持つ:親指と人差し指でヘタの部分を軽く持つ
- ばさみを入れる位置:ヘタのすぐ上の枝と果実の間
- 切り方:ヘタを短く残す(2〜3mm程度)
- 切る角度:果実に対して垂直に切る
注意点
- ヘタを長く残しすぎると、保存中に他の果実を傷つける原因になる
- 逆にヘタを切りすぎると(皮まで切ってしまうと)、そこから腐敗が始まる
- 果実を引っ張ったり、ねじったりして収穫すると、枝を傷つけ翌年の結実に影響する
上級者向けテクニック
- 収穫と同時に軽く選別する習慣をつける
- 一つの果実を収穫するごとに、次に収穫する果実を目で確認しておく
- リズミカルに作業することで効率アップ
収穫時の注意点
果実を傷つけない工夫
- 爪は短く切っておく:長い爪で果皮を傷つけると、そこから腐敗が始まる
- 優しく扱う:投げ入れたり、積み重ねすぎたりしない
- 収穫かごは八分目まで:重ねすぎると下の果実が潰れる
樹への配慮
- 枝を折らない:特に結果母枝(翌年も実をつける枝)を大切に
- 一度に全ての実を収穫しない:特に家庭菜園では、必要な分だけ収穫する方法も
- 収穫後の枝の様子を確認:折れかかっている枝があれば適切に剪定
収穫時の服装
- 長袖・長ズボン:とげや虫から身を守る
- 帽子:落下物や日差しから頭を保護
- 滑りにくい靴:特に斜面での作業時は重要
品種別の収穫のコツ
みかんの品種によって、収穫方法や注意点が少し異なります。主要な品種ごとのコツをご紹介します。
温州みかん
- 極早生種:完全に色づく前でも糖度が上がれば収穫可能(酸味が残るのが特徴)
- 早生種:完全に色づいてから収穫すると甘みが増す
- 中生・晩生種:軽い霜に当たると糖度が上がるため、寒くなってからの収穫も◎
ポンカン
- 完熟するまで待つことが重要(早めに収穫すると酸味が強い)
- ヘタの周りが少しへこんできたら収穫適期
- 果皮が柔らかいので、収穫時に強く握りすぎない
伊予柑
- 1月下旬〜2月が収穫の目安だが、3月まで樹上で完熟させるとより甘くなる
- 果実が大きいので、収穫かごに入れる際は特に注意
- 収穫後2週間ほど追熟させると食味が向上
甘夏・八朔
- 完全に色づいても酸味が残るため、3月以降の収穫がおすすめ
- 果実が大きく重いので、枝が折れないよう注意
- 収穫後の追熟期間を設けると甘みが増す
収穫直後の取り扱い
収穫したみかんをそのまま放置すると品質が落ちてしまいます。収穫直後の適切な処理が美味しさを左右します。
収穫直後の選別
- 傷がある果実:早めに消費する
- 形が不揃いな果実:問題なく食べられるが、贈答用には向かない
- 病害虫の被害がある果実:他の果実に影響するため分けておく
一時保管の方法
- 日陰で風通しの良い場所に置く
- 段ボール箱やコンテナに浅く並べる
- 果実同士が擦れ合わないよう注意
収穫後の追熟
- 温州みかん:基本的に追熟は不要(収穫時に完熟が理想)
- ポンカン・伊予柑・甘夏など:1〜2週間の追熟で甘みが増す
- 追熟方法:15℃前後の温度で、風通しの良い場所に置く
まとめ:美味しいみかん収穫のポイント
- 適期を見極める:品種ごとの収穫適期を理解し、完熟したものを収穫
- 適切な道具を使う:専用のヘタ切りばさみを使用し、果実を傷つけない
- 正しいヘタ切り:ヘタを適切な長さ(2〜3mm)に残して切る
- 丁寧な取り扱い:収穫から保管まで、果実を傷つけないよう注意
- 適切な選別:収穫後すぐに選別し、傷のある果実は早めに消費
- 適切な保管:風通しの良い冷暗所で保管
みかんの収穫は、1年間の栽培の集大成です。正しい収穫方法を身につければ、みかんの美味しさを最大限に引き出し、長く楽しむことができます。次回の記事では「収穫後の保存方法」について詳しく解説します。特に「貯蔵みかんの作り方」や「長期保存のコツ」など、収穫したみかんを長く楽しむための方法をご紹介する予定です。
この記事は「みかんの育て方」シリーズの一部です。前回の「収穫の適期と見分け方」と合わせてお読みいただくと、より理解が深まります。次回は「収穫後の保存方法」について詳しく解説します。ぜひお楽しみに!
みかん収穫のコツについて、皆さんの経験やアドバイスがあればコメント欄でぜひ教えてください。地域によって異なる収穫方法や保存方法など、情報共有できると嬉しいです。
【次回予告】「みかんの収穫後の保存方法:美味しさを長持ちさせるテクニック」
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